保険とは助け合いのシステム
いきなりだいぶ専門的な話になるので、そこまでガッツリみたくない人はスルーしてくださいね。
保険のリテラシーを高めていく前に、
そもそも保険とはどういう目的、考えをもとに作られた制度なのか
簡単に説明していきます。
保険とは簡単に言い換えると「リスクに備えた助け合いのシステム」です。
これは池上彰さんの著書に書かれていた表現です。
実に端的にわかりやすく表現されているなと思いました。
私たちはみんな様々なリスクを抱えて生活をしています。
身近なのが、交通事故にあってケガをして入院したり、
逆にケガを負わせたり、死なせてしまうというリスクです。
そうしたリスクに一人一人が個人で対応するのはどうしても限界があります。
そこで普段からみんなで少しずつお金を出し合っておいて、
いざお金が必要だという人が現れたら、
プールしておいたお金を使ってもらう。
これが保険の仕組みです。
例えば、自動車保険というのは
「車で事故起こしてしまうかもしれない」
というリスクに対しみんなで少しずつお金を出し合っておきます。
そして事故を起こしてしまった人が出た場合、
みんなで出しあっておいたお金がその人のために使われます。
また、あるとき別の人が困った状況に陥れば、
今度はその人のためにお金が使われます。
このように、保険は大勢の人が共に助け合うという
「共助」の考えから誕生した仕組みです。
この仕組みでは、
人は「自分のためにも、他人のためにもお金を出して備えている」ということになります。
自分ひとりでお金を貯めるより、
ずっと大きな保障を受けることができるのです。
そのため、個人で積み立てたお金より高額な保障額が支払われることもあるのです。
「自分に何もトラブルがなければ保険料が無駄になってしまう」
と、掛け捨てタイプの保険を嫌う方もおられますが
保険料は必ず誰かの役に立っています。
また、自分もいつどんなトラブルに巻き込まれるかわかりません。
万が一のときに保障を得ることができ、
安心して日々を過ごせるようにする
ということも保険の大切な役割です。
この考え方を理解できたところで、
もう一つ、大前提として絶対に理解しておいてもらいたい大切なことがあります。
それは、
『保険という商品は、基本的には加入者にとって不利な商品である』
ということです。
え⁉と思われると思いますが、少し考えてみればすぐにお分かりになると思います。
保険会社は何のために保険を売っているのでしょうか。
国民のためですか?
いいえ、営利目的として存在しています。
ほとんどの保険会社は株式会社です。
だからお金を儲けて株主に利益を還元させなければならないので儲ける事が目的です。
ということは、儲けるための会社が存在していて、
そこに私たちがお金を払っているということです。
つまり私たちが損をする確率というのが非常に高くなっているということです。
このような言い方をするととても聞こえが悪くなりますが、事実です。
現在、日本で一番歴史のある保険会社は明治安田生命ですが、
当時は「人の生死で金儲けをするなんて」という批判をあびることも多かったようです。
この批判は、生命保険がどのようなものなのかが
民衆に正しく理解されていなかったことを示しています。
つまり、日本の生命保険の成り立ちは
マイナスイメージからのスタートだったのです。
そのため、民衆に生命保険が普及するには時間がかかりました。
しかしその後、保険制度に対する理解は徐々に広まっていき、
加入者も増えていきました。
生命保険会社は私たちが払う保険料をどのように決めているのでしょうか。
それはあらかじめ予定された三つの確率に基づいて計算されています。
① 予定死亡率
過去の統計データをもとに、
契約期間中に死亡する人がどれくらいいるか予測した割合のこと。
将来の保険金支払いが確実に行われるようにするため、
実際に見込まれる確率よりも高めに設定されています。
② 予定利率
保険会社は私たちが支払った保険料を株式や債券などで運用しています。
その運用次第で保険金や解約返戻金が変動するタイプの保険があるのですが、
予定利率とは、そういった運用をする際に
保険会社があらかじめ見込んでいる運用利回りのことです。
③ 予定事業費率
保険会社が運営を維持していく上で必要な経費のこと。
人件費や物件費もあらかじめ保険料の中に組み込まれています。
保険料は、このような三つの基本率に基づいて決められているのです。
何十社とある保険会社。
比較するときに一番気になるのがやはり負担する保険料かと思います。
なぜ、保険会社によって同じ保障内容、保障金額なのに支払う保険料に差あるのでしょうか。
さらに細かく見てみると、保険料には
生命保険会社が将来保険料を支払うための財源となる純保険料と
事業を維持、管理していくために費用になっている付加保険料に分けられます。
純保険料というのは「予定死亡率」と「予定利率」をもとに算出されているのですが、
ここで使用される予定死亡率というのは各社ほぼ同じ統計データを使っています。
予定利率に関しては、一社だけが抜群な利回りで運用できるわけではありません。
ということは、純保険料はどの会社でも実はそれほど差はないのです
保険料の大きな差ができるのは、実はもう一つの「付加保険料」によるものです。
会社によっては従業員の給料体系も違いますし、
建物の管理、維持費などの割合ももちろん変わってきますよね。
つまり、会社の規模が大きく、従業員を多く抱えている会社ほど
保険料は高くなるというわけです。
一般的にインターネット販売の保険や通信販売の保険が安いのは、
対面販売の保険と比べて人件費などのコストがかからない分、
付加保険料が低く抑えられるからなのです。
会社によって、または商品によって保険料が違うのは
このような理由からなのですね
まとめ
保険とは『リスクに備えた助け合いのシステムである』
保険とは『基本的には加入者にとって不利な商品である』
保険とは『確率をもとに作られており、会社が儲かるような料金設定になっている』
お分かり頂けたでしょうか。
最後にもう一つ
このブログではわかりやすく「損をする」「得をする」というような表現を使っていきますが、
保険とは共に協力して助け合うという考えによって成り立っているので、
保険にはそもそも『損得』の概念はないということも理解しておいてください。
先述しましたが、私たちが支払っている保険料で助けられている人達はたくさんいます。
しかし、この仕組みを理解せずに必要以上に保険料を払ってしまっている(払わされている)という事が問題なのです。
このように書くと保険にはいい面もありますが、
やはり悪いイメージの方を強く待たれてしまうかも知れません。
しかし、この事実を知ったうえで保険について考えていくことが
失敗しない保険選びには必要不可欠なのです。
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